それで貴方はどうなるの






あいつは変わった。

卑屈さがなくなった。
無防備な弱さを見せることがなくなった。
無意識に人に頼ることがなくなった。
そして決定的なのがナルトに対しての気遣い。

なのに、オレに対する接し方だけは変わらない。
良い意味じゃない。
あいつとオレの間だけ、何の成長も発展もしていない。
だからオレも―――変えるつもりも変わるつもりもない。

だから、あいつは怯えたままでオレは突き放したまま。

もう、これ以上二人きりで居る必要はない。






サスケ君、最近調子悪い?
機嫌悪いの?とは訊けなくて…言って、サスケ君の顔を横目でうかがう。
別に。
悪くても良くてもきっと同じ表情で同じ言葉を返したんだと思うけど、
一応言葉に出すことで何か少し変わったらいいなとか、ちょっと期待しただけだった。
サスケ君が里に帰ってきて2ヶ月ちょっと。
まるであの空白の期間なんてなかったのかのように
この人は丁度3年前以前のサスケくんと同じだった。
少し穏やかになったのを省くと。
でも、最近徐々に私と距離を取り始めているのが分かる。
7班で任務をこなしたり食事したり、修行したりするのを断ったりはしない。
最近は気が向けばナルトとも一緒に行動する事だってあるらしい。
でも私に対しては…。
とても自然に、この人は「それ」をする。
「それ」は無視じゃないけど、とても近い。
私とのある方向に対してだけ、気を許さず壁を作っている。
今もそうだ。
以前のこの人なら、望む望まないに関係なく私の今の心理状態に簡単に気付いて、
でも何も言わない。けど。居たたまれない様な顔を見せた。
今のこの人も、私が今にも涙がこぼれそうな様子に気付いてる。
でも完璧に無関心を装ってる。
装っているのでなく、もしかしたら本当に関心がないのかもしれないほど。
何で、こんな事するの。
せっかく帰ってきたのに、何で。
「サ……」
サスケ君、私、何かしたかな?
言葉に出そうとするけど、全然舌が回ってくれない。
駄目だ。駄目だ。ここで泣いたら、もっとこの人との距離が…
「オレはもう大丈夫だ。」
全く予想していなかった言葉に、幸運にも涙がまぶたに留まった。
「だから、お前はお前の居るべき所に行け。」
「………ど、ういう意味?」
「解ってるだろ。」
サスケ君が目を細めて笑った。
初めてサスケ君の笑顔を見た。

座っていた丸太から離れると、あの人はいつもの歩調で集落の方へ歩いていった。
「………え……」
がくがくと膝が揺れる。
揺れるな。出るな、涙。
さっきまで足でいじっていた砂利に涙がこぼれて落ちる。
突然突きつけられた現実に頭が混乱してついてゆけない。
私、どうすればいい?
ああ、……違う。
私、何が欲しいの?
そうだ。私はどうすべきなのか。
ナルトの想いに応えるのか。
サスケ君を追うのか。
仲間として皆と幸せになりたいのか。
もう答えは出ている筈だった。











「サスサクの小説で、サスケのやきもち」。
リクエストありがとうございました。
サスサクかどうかは自分でも甚だ疑問ですが結末は皆さんのご解釈で…。
て言うか「サスケ、サクラのナルトに対する想いに気付き居たたまれなくなってナルサクお手伝い」かこれは!
テーマはやきもちなのに想像してたのと全然違う!と思われたらごめんなさい。
やきもちっつーたら甘々ですよね普通。
サ、サスケが悪いんだ!こういう男だから!
題名はサクラの叫びかなあ…。